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 <パントマイムの神様>と称えられ、エンターテイメント史に類稀なる足跡を刻むマルセル・マルソー。彼は若かりし頃、第二次世界大戦中にナチと協力関係にあったフランス政権に立ち向かうべく、レジスタンス運動に身を投じていたが、その活動内容を自ら語ることはなかった。没後10年以上の時を経た今、マルセルの知られざる実体験を明かす、力強く温かな感動作が誕生した。
 マルセルを演じるのは、『ソーシャル・ネットワーク』でアカデミー賞🄬にノミネートされたジェシー・アイゼンバーグ。自身もユダヤ人で母親がプロの道化師だったという生い立ちを活かし、アートにのめり込み自分を表現することしか興味がなく、自己中心的だった青年が、傷ついた子供たちと出会い、人間味豊かな魅力的な人物に変わっていく姿を生き生きと演じた。マルセルが恋心を抱くエマには、『テネット』のクレマンス・ポエジー。ナチのクラウス・バルビー親衛隊中尉には、『ワルキューレ』のマティアス・シュヴァイクホファー。また、名優エド・ハリスが、アメリカ陸軍大尉ジョージ・S・パットン役で出演、短いシーンながら作品の格を上げることに貢献している。監督はポーランド系ユダヤ人で、ベネズエラで最も著名な映画監督であり脚本家、ベストセラー作家でもあるジョナタン・ヤクボウィッツ。
 子供たちを救うこと、それは自分たちの未来を救うこと──今この時代の目の前の不安から、その先に待ち受ける予測不能の困難さえも吹き飛ばす、生き抜く力を呼び覚ます深く温かな愛を、あなたに──。

 1938年フランス。アーティストとして生きることを夢見るマルセルは、昼間は精肉店で働き、夜はキャバレーでパントマイムを披露していた。第二次世界大戦が激化するなか、彼は兄のアランと従兄弟のジョルジュ、想いを寄せるエマと共に、ナチに親を殺されたユダヤ人の子供たち123人の世話をする。悲しみと緊張に包まれた子供たちにパントマイムで笑顔を取り戻し、彼らと固い絆を結ぶマルセル。だが、ナチの勢力は日に日に増大し、1942年、遂にドイツ軍がフランス全土を占領する。マルセルは、険しく危険なアルプスの山を越えて、子供たちを安全なスイスへと逃がそうと決意するのだが──。

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1978年、ベネズエラ、カラカス生まれのポーランド系ユダヤ人。ベネズエラ中央大学でコミュニケーション学の学位を取得する。ベネズエラの最も名高い映画監督であり脚本家。長編劇映画初監督作品となる『ベネズエラ・サバイバル』(05)は、英国インディペンデント映画賞外国語映画賞にノミネートされ、2005年にニューヨーク・タイムズ紙の「批評家のお薦め」に選ばれる。また、本国で公開されるや大ヒットを記録し、『タイタニック』、『パッション』といった作品を抜いてベネズエラ史上で最も興行収入をあげた映画となる。第2作となる『ハンズ・オブ・ストーン』(16)は、エドガー・ラミレスが扮するパナマ人のボクサーとロバート・デ・ニーロが演じるトレーナーの関係を描いた作品で、カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、15分間の温かいスタンディング・オベーションを受ける。2016年には初の小説「Las Aventuras de Juan Planchard(原題)」を刊行、スペイン語圏でベストセラーとなり、2017年2月にはアマゾンの外国語フィクション部門ベストセラーの1位となる。

幼いころからバスター・キートンやチャーリー・チャップリンに憧れ、俳優を目指すが、戦争の為に演劇学校に通うことができなかったマルセルは、第二次大戦勃発後の1942年にレジスタンス活動に参加する。英語が堪能だったため、アメリカ軍、ジョージ・S・パットン将軍(※)の渉外係を務める。戦後、パリのサラ・ベルナール劇場で演劇を学ぶ。1947年に創造した、白く塗られた顔、ボーダーシャツに花のついたシルクハット姿の「ビップ」というキャラクターは、パントマイムの一般的なイメージとして認知されるほど影響を与えた。1978年にはパリ市マルセル・マルソー国際マイム学院を設立し後進の育成にも力を注いだ。2007年9月22日、パリにて死去。

※ジョージ・S・パットン将軍・・・第二次大戦時、アフリカ戦線・欧州戦線で活躍したアメリカ陸軍の将軍

22歳でナチ親衛隊に所属、その後、ドイツ占領下のフランスでレジスタンス活動家やユダヤ人を迫害し「リヨンの虐殺者」と恐れられた。戦後はアメリカ軍スパイ、ボリビアでは軍事政権の立役者として活躍。1983年、ボリビアから追放され、フランス領ギアナでフランス当局に逮捕される。4年後の1987年、戦時中の17に及ぶ「人道に対する罪」で終身禁固刑を宣告され、1991年9月25日、刑務所内の病院にて病死。

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